かぎたちゅうざぶろう せんせい ごろく
鍵田忠三郎先生語録 1 坐禅 2 命 3 般若心経・祈り 4 臘八接心 5 大文字行 6 道場 7 誓願 8 態度 9 酒 10 食 11 姿 12 贈る 13 槍 14 時計 15 地震雲 16 中国 17 病気 18 書 19 その他 編集:一箭順三 8 態度 自分は求道者であると自認してきたが、これではいけない。救済者となり世の中の人を救わせてもらわねばならない。法然上人も44歳の時にこのことを説かれて専修念仏を言われた。私は般若心経を基にこの道を貫く。 S.53.1.16 うまくやってやろうと思うから迷うのだ、天に向かって、神に向かって事を行えば迷うことはない。 S.52.1.7 奈良市寒稽古閉会式で、「人生で最も愉快な事は自分自身に馬乗りになれたときである。寒い、眠いを超えて稽古をする。こうして自分に勝てたときに愉快を感じる。あなた方も自分に負けないで、立派な日本人になって下さい。」 S.53.1.22 山本亀治さん「自分は今、福祉の仕事をしている。しかし、人は国から貰う事ばかりを考えている。私は仕事を通じて人さん方が、国の役に立つようになることを考えるようになって貰うようにしたい」。道場長「昔は人さんの役に立つ事をするのが当たり前であったが、今は貰う事、して貰う事、世話になる事をなんとも思わなくなってしまった。今では一部の人達だけが人さんの役になるように、人の世話にならないように考えているだけだ。今の中国ではみんなこう思っている。この昔からの伝統を受け継ぎ広めて欲しい。」 S.53.2.11 どんなことでも「もうだめだ」と思う時が最も底なのだ。そこを一歩踏み出せば救われるものだ。 「突きには出よ」だ。 死のうか死のうまいかと迷うときは、死ね。行こうか行こうまいかと迷うときは、行くな。食おうか食おうまいかと迷うときは、食うな。しかし、修行に行こうか行こうまいかと迷うときは、死んでも行け。 いつでも「虎視牛行」だよ。 生涯、駆け足はせんのじゃ。 電車の乗換に時間がなく「先生、急いで下さい」とお願いすると、「無茶を言うなよ」と、悠々と歩かれた。 みんなそんなに急いで何をしているのか。バスの中で駆け足しとるぞ。 生涯、まいったと言わない。 物事の判断に迷うときは、苦しい方、辛い方を選べばいいんだ。 いつも己に厳しくしていれば、人さんに優しくできる。 (「これが地震雲だ」を出版されたとき)人さんは苦しんだ分だけ買って下さる。楽して書いた本など、誰が買うものか。(出版当時市長職にあり激務だった。先生は寝る時間を削って執筆された。) 高円山に大の字を書く作業(大文字)している時、あんな山と思うだろうが、道に迷ったことがあった。深い山なのだ。その時疲れて苦しかったが、辛い登る方を選んで結局助かった。もし楽な下る方を選べば、谷に迷い込んで遭難しているところだった。 人生に僥倖(ぎょうこう)はない。すべて努力相応じゃ。 目的と手段を混同してはいけない。 いつでも、人さんを先に。 自分を勘定に入れない。 絶対、言い訳はしない。 仮に人から訴えられる事があったとしても、人さんを訴える事はせんのじゃ。 便利は不便利。裏表じゃ。 朝に思いついたことは即実行している。反対に、夜思いつくことは大したことじゃないね。もう一度考え直している。 修行は急・急と詰めてばかりでもいかん、時にだらりが必要なのだ。しかし、だらりで終わってはいかん、急と締める。 「急・急・だらり・急」じゃ。 だらり人生 先生が習心館道場剣道の師範吉本治夫先生と話しておられた。「三笠温泉土地をやっていたころ、社員が地面に唾を吐きよった。そこで、土地で食べさせて頂いておる者が、その土地に唾するとは何事かと叱りつけてやった。」「そういえば、私も自分の店(化粧品店)の中ではめったにおならはしませんなあ。」 眠くなったからといってバタンと寝てしまうのでは動物と同じじゃないか。修行者なら、眠気を去ってから眠るものだ。 明日は何時に起きようと決めて眠れば、必ずその時間に起きられるものだ。時計は要らない。 宮沢喜一氏が首相になった頃、テレビを見ていて「あの人の目玉は良く動きますね。」と言ったところ、「もっとすごいのがおるぞ。海部首相の時、会って話そうとしたことがあった。しかし、話しているあいだ、立つは座るは少しもじっとしておらんかった。おまけに、肝心の話になるとそれは誰々にまかしています。とか言って結局話が出来なんだ。」 坐禅のあと、「実は昨夜は腹が痛くて寝られなんだ。わしもこんなことを言うようになってしまったが、昔の人は腹が痛いなんぞそんな恥ずかしいことは絶対言わなんだもんだ。腹痛なんて自分の不摂生からくるもんだ。本当はこんな恥ずかしいことを言うものじゃないんだが、考え方を伝えておく。」 |
2003.03.08