標語市長4,380日

鍵田忠三郎先生語録 大文字送り火行を創始する 川路聖謨先生顕彰碑 剣道と人生「一剣興国の習心五則について」 石田和外先生を偲ぶ わが師を語る 私の信仰 坐禅のすすめ 雲による地震予知 般若心経百万巻を読誦し得て 標語市長4,380日 鍵田忠三郎先生逝く 

はじめに      

年間標語      

月間標語  

週間標語                         
週間標語(S42)  週間標語(S43)  週間標語(S44)  週間標語(S45)  週間標語(S46)
週間標語(S47)  週間標語(S48)  週間標語(S49)  週間標語(S50)  週間標語(S51)
週間標語(S52)  週間標語(S53)  週間標語(S54)




標語市長4,380日

鍵田忠三郎 奈良市長










ごあいさつ

奈良市長  鍵田忠三郎

昭和54(1979)年3月



 私は、正しい人の道を盛んにすることが市政の眼目と心得ている。
 自ら修養につとめ、自分が求道精進するなかで、日常の行政の絵を描かせていただいている。 私は、ささやかな習心館道場という剣禅道場を開かせていただいて、青少年に剣道と座禅を指導させてもらって20年になる。
 私は毎朝、この道場で5時半より1時間以上座禅ないし剣道の稽古をして、心を正して市役所に出ることにしている。
 365日、日曜も祭日もない。東京へ出張すると、午前時には靖国神社に参り、同じく心を正し、仕事にかかることにしている。
 私は、自分を苦しめ心を正す仕事を、行政上、最も大切なことと心得ている。
 市役所の職員にも、自己を苦しめて、人に親切をすることを説き、自己を苦しめることによって、市民に村する大きな愛情が湧き、これを養い、開拓精神以て実行することが、正しい行政姿勢であると常に話しているところである。
 そして、始めが大事であり、始めに、心を正し、目標を定めて実践すると、終りを全うできるものであるから、年頭の会議、月の一日の会議、週の始めの朝礼を実行して、その時、その時に応じた正しい、心のもち方を話し、その都度標語を示して4380日となった。
 つまり12年間これを続けたわけで、その標語の数も現在では800編にも及び、その内容は主として年間標語は市政目標、月間標語は基本姿勢、週間標語は人生訓や勤務上の心得となっている。
 これによって市の全職員が常に心を定め、私ともども一体となって「開拓精神をもって真に幸せなる新平城京のまちづくり」政策を推進してくれている。
 私は12年間行政をさせてもらってきているが毎日毎日、なーにくそ、なーにくそと、自分にまけずに、早起きと修業に精進し市政を立派に正しく繁栄させるべく、努力を重ねてきた。この標語はその記録でもある。
 今度、12年間の標語をまとめてくれたので、自らの修養の為にももう一度読み返してみたいと思っている。
 何れにせよ、この12年間4380日の標語集は、奈良市政12年の、心の行政の一つの軌跡でもある。
 職員の間に於ても、この標語の一つ、二つを覚えて、自らの人生の指針にしてくれている人も多くいるときいている。お互い生涯勉強である。
 この標語集が参考になり、皆さんの人生を豊かにし、少しでも役立てば幸甚に存じます。



はじめに

 「人生の最大の不幸は、彼が自己の真の目的が何であるかを知らないところにある。」とゲーテは喝破した。自己の目的を知らないでただうかうかと生きている者は、行先きを知らない旅人と同じである。
 人間は常に生きる目的を自覚し、立志し、理想や目標をもち、それに向かって力いっぱいの精進努力を重ねて行かねばならないし、その歩みをしている人の姿は美しい。それが国家や社会のために尽〈すための私心のない真摯な姿であればなおさら美しく尊いものだ。
 奈良市役所では、12年前に鍵田市長就任のときから、職員の心を定める標語を市長から職員に示され、今日に至っている。
 毎年の標語は年頭に、毎月の標語はその月の初めに、毎週の標語は週はじめの月曜日に部課長会や庁内放送で示され、その心を35分間にまとめて、市長自身から全職員に理解するように説明される。
 そしてみんなが心を定め、全員一致して仕事にとりかかることになっている。
 これらの標語は、年中朝5時に起き、座禅と剣道の修業に打ち込む、厳しい市長の修行態度から生まれでるもので、年間・月間は行政目標、週間は処世目標となっている。そして、その一つ一つには自ら求道し、自らを苦しめる、気迫がみなぎっている。
 管理監督に当たるT君は「生活に、仕事に理想、目標を持ち、事に処するのと否とでは大差がある。短かい語句に深遠の意味を有しまた単刀直入、指針を示すものにあうとき、私は深い感銘を覚え、勇気が湧く。このことばが深い思索と精進と実桟に根ざす信念であると思うから尚更である。使命のもとに職を奉ずるもの、その職場における業務執行についての方針を理解し、体することは当然である。奈良市における標語は大きな意義があると考え、これに向かっての努力と精進を重ね、部下には範を示すように心掛けている」と信奉のほどを語る。
 また男子職員
Y君は、「毎月、毎週の標語は人生の理想目標、あるいは実践目標として聴いている。自分としてはどうあがいても到達できないものもあるし、努力次第では実践できるものもある。教訓として自分に強く言い聞かせるものもある。人間、生活していく上では、どうしても安易な方向へ走り勝ちであるが、毎月、毎週はじめに市長の標語を聴〈ことによって、自分自身の気持を引きしめている」と語り、また女子職員Tさんは「時には耳なれない仏教語や禅語など出てきて理解できない時もありました。朝礼のとき、上司から標語についての説明があった時は、ノートに書き留めるようにしています。いつも市長がいわれている、市職員がまず市民に範を示さねばならない、ということを、心に銘じて、示された目標に向かって邁進し、今後は、だれにでも思いやりの心、やさしい言葉で接し、真心のこもった、心通う仕事を精いっぱい努力してやっていきたいと思います」とその感想を述べている。
 いま、奈良市職員は、この標語を心の糧として、また、指針として奈良市の理想郷「近者よろこび、遠者来たる」のまちづくり」を目指して、それぞれの分野で精進し、努力し「真に幸せなる新平城京のまちづくり」に全力を挙げているのである。




2004.03.20