稽古槍柄用材:どんぐり播種作業


稽古槍柄用材:葉長樫(ハナガガシ)どんぐり播種作業

播種作業  令和元(2019)年5月11日(土)13:00〜
        宝蔵院流槍術育苗場(奈良市)

作業概要
@ (2018.11.25)宮崎・大分県において、槍柄用どんぐり(ハナガガシ)700粒を採集
  これを土中越冬。越冬させることでどんぐり内に発芽ホルモンが生成。
A 樫用育苗トレイに培養土を詰め、
B どんぐりの播種作業
C 鳥害防御の網で覆い、発芽を待ちます。
D 第二期 槍柄用樫苗植林に向けて
順調に発芽・生育すると、2-3年後に樫苗を宝蔵院流槍術槍柄用樫苗育樹地(奈良県上牧町 山林)に定植する予定です。

稽古槍材の現状
 古武道伝習者にとって、安定的な武具の調達は喫緊の課題です。
 宝蔵院流槍術は、樫製の稽古槍(鎌槍:2.7m・素槍:3.6m)を使用しています。
 しかし、無節・長尺の樫材調達は容易ではありません。
 槍柄材としての白樫は伐採が進み、国内では既に枯渇しているものと推測されます。

植林計画

 宝蔵院流槍術は、樫の実(ドングリ)を拾って育て、自分たちで植林する構想を発案

樹種の選定
 槍柄材として江戸幕府将軍家に直納されていたのは、優れた堅さと弾力性を持ち、真っ直ぐ20m以上に成長する天草の葉長樫(ハナガガシ)という種類でした。

 「天草の樫」については佐渡奉行(後に勘定奉行として日露和親条約を締結)川路聖謨(かわじとしあきら:奈良奉行でもあった)の日記にも記されています。
天保11(1840)年11月2日:参照)

 江戸時代に風靡した天草ブランドの葉長樫は、現在では福連木(ふくれぎ)国有林(熊本県天草市)に僅かに残るのみとなり、希少種に指定され伐採等は不可
 しかし、大分・宮崎県の鎮守の森にそれぞれ葉長樫巨樹林の存在を確認

育苗
 当面は、福瀬神社(宮崎県日向市)・堅田郷八幡宮(大分県佐伯市)のドングリを継続して採集させていただき、奈良において育苗を続けます。

植林
 奈良に於いて最初に播種した葉長樫は、30-50cmに成長し、いよいよ奈良県上牧町に山林を確保し、植樹祭、および植樹作業を挙行しました。
植樹祭   平成28(2016)年12月10日
植樹540本 平成29(2017)年 2月25日
多くの皆様方のご助力・ご協力ありがとうございました。

第二期植林
引き続き、今回(2019.5.11)播種どんぐりの成長を見て、第二期植林の準備を進めてまいります。

植林維持管理
 植林は枝払いや下草刈りなど、50年以上にも亙る息の長い作業が必要となります。
 470年の歴史を有する宝蔵院流槍術を次世代の伝習者に確実に引き継いでいくためにも、私ども宝蔵院流槍術一門は平素の稽古とともに、稽古槍用材確保のための植林計画を継続し、日本古武道の普及発展に精進してまいります。

葉長樫どんぐり

樫用育苗トレイに培養土を詰める。

播種を終えた樫用育苗トレイ
どんぐり播種作業班(11名)
 宗家:一箭順三
 免許皆伝:粕井隆・美馬博幸
 免許:西本昌永
 目録:加藤了嗣・米原紀吉・白木勝・鹿野浩
 伝習生:川西正明・渕上孝裕・山本一正 


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2019. 5.13