宝蔵院流槍術 槍柄用材 樫の木植樹祭を挙行 月刊「武道」 平成29(2017)年1月号 宝蔵院流高田派槍術 第二十一世宗家 一箭順三 |
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宝蔵院流槍術は、槍柄用材の樫を育てるため、奈良県上牧町において12月10日、植樹祭を挙行しました。 宝蔵院流槍術は、樫製の稽古槍(鎌槍:2.7m・素槍:3.6m)を使用しています。しかし、無節・長尺の樫材調達は容易ではありません。槍柄材となる白樫は、この日本において既に枯渇しているのです。 この危機に、自身で樫苗を植林する構想を発案しました。槍柄材として江戸幕府に直納されていたのは、優れた堅さと弾力性を持ち、真っ直ぐ20m以上に成長する九州・天草の葉長樫(ハナガガシ)でした。これが、現在でも大分・宮崎県の鎮守の森に健在です。平成25年から毎秋、伝習者とドングリを採集し、奈良において育苗を続け、既に40-50cmと植林ができるまでに成長しました。 樫の木植林には、山林(2,500u)の確保、作業道の設置、雑木伐採・搬出など相当な費用がかかります。宝蔵院流槍術伝習者や多くの皆様に呼び掛け、ご協力をいただきました。 記念植樹には、奈良宝蔵院流槍術保存会会長・春日大社宮司 花山院弘匡、宗家 一箭順三、奈良県森林技術センター所長 伊藤貴文、上牧町長 今中富夫、教育長 松浦教雄、山林提供 谷甚四郎、下牧自治会長 土井康次、上牧第二中学校生徒会代表 馬場朋奈、こども槍術教室代表 中岡真也の9名に代表植樹をお願いしました。続いて隣接町有地において記念演武会を実施し、地元の方々に宝蔵院流槍術の演武を披露しました。 また、奈良県森林技術センターと50年に亘る成育管理指導協定を締結し、専門家による知見と指導を得つつ、伝習者が植林・育樹作業を継続するとともに枝払いや下草刈りなど、息の長い作業が必要となります。 460年の歴史を有する宝蔵院流槍術を次世代に確実に引き継いでいくためにも、平素の稽古とともに、稽古槍用材確保のための植林計画を継続し、日本古武道の普及発展に精進してまいる所存です。 |
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植樹祭に参加した方々 |
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記念演武会に臨む一箭順三宗家はじめ門人 |
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演武する門人 |
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稽古槍柄用材 葉長樫育成・植樹・募金の歴史 2017. 2.25 樫苗植樹作業 2017. 1. 1 月刊「武道」2017.1月号掲載「宝蔵院流槍術 槍柄用材樫の木植樹祭を挙行」 |
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2016.12.21 奈良県森林技術センター「ハナガガシ育苗の経緯」 2016.12.15 宝蔵院流槍術 槍柄用材の樫植樹募金 ご協賛者名 2016.12.10 槍柄用材樫植樹祭・記念演武会 2016.12. 5 樫苗生育状況調査 2016.12. 1 奈良県森林技術センター「宝蔵院流槍術と『成育管理指導協定』締結」 2016.12. 1 樫苗育樹「生育管理指導協定」締結 2016.11.24 奈良県森林技術センター報道資料「宝蔵院流槍術の樫苗植樹活動における成育管理指導協定書の締結について」 2016.11.20 稽古槍柄用材:葉長樫(ハナガガシ)ドングリ採集 2016. 9.18 宝蔵院流槍術 槍柄用材の樫植樹募金 2015.11.22 稽古槍柄用材:葉長樫(ハナガガシ)ドングリ採集 2015. 3.28 葉長樫(ハナガガシ)ドングリ特製竹筒ポットへの播種作業 2014.11.24 稽古槍柄用材:葉長樫(ハナガガシ)ドングリ採集 2014. 6.24 葉長樫(ハナガガシ)ドングリ発芽特製竹筒ポットへの移植作業 2014. 2. 1 月刊「武道」掲載:50年後の伝習者に託す夢(ハナガガシ ドングリ採集) 2013.11.24 稽古槍柄用材:葉長樫(ハナガガシ)ドングリ採集 |
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2017. 1.11