銃剣道の源流を青少年が体験
宝蔵院流高田派槍術 第二十一世宗家 一箭順三

月刊「武道」
(発行:日本武道館)2014.12月号 掲載


参加者と共に 一箭順三宗家と門弟


演武解説する一箭宗家
 去る10月18日・19日、滋賀県立武道館(大津市)において、地方青少年銃剣道錬成大会(主催=日本武道館・全国都道府県立武道館協議会・全日本銃剣道連盟・滋賀県体育協会、協力=日本古武道協会)が開催されました。
 この錬成大会に、滋賀県を中心に近畿の小・中・高校生30人が参加し、宝蔵院流槍術(ほうぞういんりゅうそうじゅつ)が演武を披露、体験学習を実施しました。演武・解説者は、一箭順三(宗家)、長田眞男(免許皆伝)、西本昌永(免許)、田口昌昭(目録)の4名。
 銃剣道は明治初期に創成された武道で、宝蔵院流など伝統的な槍術をもとに日本独自の銃剣術が制定されました。この銃剣道錬成大会に、宝蔵院流槍術の演武披露の機会を与えて頂いたことは大いに意義があります。
 始めに、宝蔵院流槍術の歴史や技を動画や画像をスクリーンを用いて説明、さらに宝蔵院流奥義を紹介しました。「宝蔵院流には『大悦眼(だいえつげん)』という教えがある。相手と対する際、睨(にら)みつけてはいけない。眼の力を抜き、微笑(ほほえ)むような眼になれば、肩にも体にも力み(りきみ)が抜けて自然体となり、体が自由となる。銃剣道の稽古の際にも工夫してください」と説明すると、少年達も頷(うなず)いていました。
 続いて、宝蔵院流槍術に伝わる型を披露しました。これらの型には宝蔵院流の技術が凝縮されており、真剣に観てくれていた少年達には感ずるところがあったのではないかと思量します。
 最後に、槍を持っての体験学習を行いました。宝蔵院流の槍は、素槍3.6b、鎌槍2.7b、重さは2.0〜2.5sあります。少年達が平素使い慣れている銃剣とは長さ・重さ共相当に違います。はじめは槍の扱いに苦労していた少年達も、次第に会得し「構え」も様(さま)になります。更に「突き」や「引落(ひきおとし)」も手を取って一緒に稽古すると直(す)ぐに修得します。さすが実践錬磨の少年達と感心し、頼もしく思いました。
 銃剣道の明日を担う青少年達が、今回の銃剣道の源流・宝蔵院流槍術の学習を通して、更にこの道を精進される機会となれば幸いです。

槍術を体験する参加者





















平成26(2014).10.18 滋賀県地方青少年銃剣道錬成大会「宝蔵院流槍術 演武」

2014.12.24