奈良・トレド姉妹都市提携40周年記念事業 世界遺産都市トレドとの交流 報告会 − 武道(宝蔵院流槍術・弓道)を通じて − |
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奈良市とスペイン・トレド市は1972年に姉妹都市提携を結びました。 提携40周年を記念し、実施されたトレドとのさまざまな交流報告会が奈良市によって開催されました。 宝蔵院流槍術は、昨年11月にトレドを訪問し、武道(弓道・槍術)を通じての交流を報告しました。 1 主催 奈良市 奈良市観光戦略課(TEL.0742-34-1965) E-mail : kankousenryaku@city.nara.lg.jp 奈良・トレド姉妹都市提携40周年記念事業実行委員会 2 日時 H.25(2013)年11月17日(日) 14:00-16:00 3 会場 奈良市中央公民館 第3・4講座室 奈良市上三条町 4 開会挨拶 奈良・トレド姉妹都市提携40周年記念事業実行委員会 委員長 大石正 5 講演 城塞都市トレドの紹介 実行委員会 事務局長 村内俊雄 6 交流報告 1 武道を通じて 宝蔵院流高田派槍術 宗家 一箭順三 2 スペイン出前授業 −奈良の春をはこぶ− 日本文化研究所なら 理事 丸岡栄美 3 トレドのスケッチ 奈良スケッチの会 代表 穂積邦彦 4 コレヒオ奈良との”WEB会議” 東登美ヶ丘小学校 校長 杉本喜代美 |
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宝蔵院流高田派槍術 宗家 一箭順三 みなさん、こんにちは。 宝蔵院流槍術を稽古しております、一箭順三と申します。 昨年11月にトレドを訪問しましたが、たった1日・1泊のトレド滞在でした。 ここには、私達以上にトレドをご存じの方がたくさんおられると思いますが、「武道を通じて」のトレド交流という視点で報告をさせて頂きます。 |
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昨年11月27日にトレドのコレヒオナラという小学校と、市庁舎前で演武を披露してまいりました。 |
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トレドに行くきっかけとなりましたのは、「ジャパンウィーク・バレンシア」でした。 私たちは奈良市鴻ノ池運動公園を中心とした武道施設で武道を稽古する講師と受講生のグループです。 ここに、国際親善協会からバレンシアでの武道を通じた交流の呼びかけがあり、これに呼応したわけです。 しかし、折角スペインへ行くなら姉妹都市・トレドも訪問したい、との提案があり早速市役所へ相談にまいりました。 丁度、昨年はトレド・奈良姉妹都市締結40周年という意義ある年であることを知り、いよいよ実行することとなった次第です。 |
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各種武道グループに呼びかけ、結局、弓道9・柔道1・宝蔵院流槍術9、計19名の参加となり、弓道の新司正人先生を団長として出発することになりました。 新司先生は今日はタイ国へ弓道指導に行っておられますので、替わって私が報告させて頂くことになりました。 |
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行程は、関空からアムステルダムを経由して空路バルセロナに入り、そこからはバスでバレンシア、マドリード、トレドを訪問し、 帰路はマドリードからアムステルダムを経由して関空への帰国となりました。 |
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ジャパンウィーク・バレンシアでは、柔道の先生がお一人でしたので地元の柔道グループと投げや受け身を披露されました。 宝蔵院流槍術は演武を披露し、弓道は美しい平安時代の衣装で百々手式(ももてしき)を披露、隣の三重県からは伊賀の忍者も参加されていました。 続いて、バレンシアからは柔道教室子ども達の演武、日本式の居合、ボウガン、空手、などが披露されました。 そのあと、互いの武道を体験し合うなど、和やかな交流が続きました。 |
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次ぎにバスで移動して、トレドを訪問しました。 これは私のカメラで写したのですが、絵はがきのような美しい風景に一同感嘆いたしました。 トレドの歴史や観光・文化については他の先生方が報告されますので、ここでは割愛させて頂きます。 |
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トレド市内観光の後、コレヒオナラを訪問しました。コレヒオナラとは奈良小学校という意味です。 校門に着きますと、子ども達が待ちかまえていて私たちを取り囲み「コンニチハ、コンニチハ」と日本語での大歓迎でした。 そして校舎には「奈良市(日本)学校」と漢字の看板が掲げられてありました。 |
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校庭での演武披露には400人の児童が見学してくれました。 最初に日本の古武道・宝蔵院流槍術やその歴史を説明し、続いて演武を披露しました。 続いて希望者に体験を呼びかけましたところ、次々やってきて槍の構えや、突きなどを体験してくれました。 |
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弓道は、校舎から平安時代の衣装を身にまとい静かに校庭に降り立ち、百々手式を披露します。 時間差で次々に「スパン」と矢が的に当たるたびに児童達は大きな歓声をあげました。 |
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その日の夕刻は市庁舎前での演武披露です。 市庁舎前広場は大聖堂に向き合っています。 これは、演武後の副市長さんを囲んでの記念写真ですが、撮影向きをかえるとこのような歴史的建造物が背景となります。 左写真の背景が市庁舎、右写真の背景が大聖堂です。 この広場に特設の舞台が設えられてありました。 |
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はじめに市庁舎から行列で出てきた弓道の先生方が百々手式を披露します。 |
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続いて、宝蔵院流槍術が広場に特設された舞台で演武を披露しました。 歴史的な石造りの建造物で囲まれたこの空間は、私たちの発する気合いが建物に響き、日本とは違った雰囲気の中での演武となりました。 |
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私がトレドで知りたかったのは、スペインの古武道でした。 トレドの名物は象嵌細工です。銀の皿などに金の針金を埋め込み文様を顕した、非常に美しい工芸品です。 それとトレド刃物が有名です。 私たちの通訳は、マドリードに住む日本人女性でした。その人が言うには、スペインの刃物は直ぐに切れなくなる。しかしトレドの刃物は強く、いつまでも良く切れる。だから、スペインの人達はみな包丁でもハサミでも、トレド製を買っている。 この写真はナイフですが、長い刀なども陳列されていました。 このように刃物作りの盛んな地であれば、スペイン古武道が継承されているのではないか、と期待していました。 しかし残念ながら残っていないことが分かりました。 |
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さきほど紹介したバレンシアでの武術披露でも、地元の武術はボウガンだけでした。 日本には現在でも70余の古武術流派が日本武道館に登録されています。ほとんどが戦国末期に発祥し、450年を経た現在にまで伝えられているのです。 その各流派は型(形)として技術を継承しています。先師の技を先輩から習い、それを後輩が受け継ぎ、こうして途切れることなく現在でも450年前の技術が私たちにも稽古が出来る、日本独特の有り難い文化の継承方法です。 刀・槍といえば、本来は人を危める道具です。しかし古人達は、その操作方法・技術を研鑽し昇華させて型(形)にまで煮詰め構成して、技術を確立しました。 さらにその修行そのものを精神修養と考え、「道」にまで発展させていったのです。 ヨーロッパには騎士道があり、武道の技術があったはずですが、勝ち負けを争うスポーツとしました。このため、フェンシングはオリンピックにも採用されています。 武術に対する考え方が異なるのかも知れません。 |
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弓にしても槍にしても、長物を海外に持ち出し、運搬するには注意が必要でした。 弓は212センチ、槍は360センチあります。さすがに槍はこのままでは運べませんので、二折・180センチの繋ぎ槍としました。 また、これらは演武用武具であっても、「武器」との認定を受けると没収される危険があります。 先ほど紹介した伊賀忍者さんは、トランクに手裏剣やヌンチャクを収納して飛行機に搭乗しました。日本は無事出国できたのですが、アムステルダムでの乗り継ぎ時の検査で、「武器」と認定され、とうとう没収されていまいました。 通常の海外旅行では荷物を手荷物とトランクに分けて搭乗しますが、私たちは荷物以外の演武用武具について「カルネ申請」を行いました。 カルネとは荷物に対するパスポート・査証の役割をしてくれます。 大切な演武槍ですが、「槍」の文字がどのような誤解を与えるかも知れませんでしたので、「トレーニング・ツール」と表記し、無事出国し、そして無事帰国することが出来ました。 また、スペイン国内での移動も難しいため大型観光バスを借り上げ、武具をメンバーとともに搬送しました。 |
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以上が、武道を通じてのトレド交流報告です。 ご静聴ありがとうございました。 |
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スペイン演武日程 バレンシア Japan Week 2012 SPAIN VALENCIA 武道大会 2012.11.25 11:00 Japan Week 2012 SPAIN VALENCIA 野外公演 2012.11.25 17:00 トレド COLEGIO CIUDAD DE NARA:トレド市コレヒヨ奈良小学校 演武 2012.11.27 12:00 トレド市庁舎前広場 演武 2012.11.27 17:00 奈良市「トレド作品展」 2012.12.12-12.16 スペイン宝蔵院流槍術演武会レポート 2012.12.20 |
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2013.11.18