奈良宝蔵院流槍術保存会入会のすすめ

 奈良は、日本の武道発祥の地と言われています。
  この武道とは、柳生の剣法と興福寺の宝蔵院槍術であります。柳生の剣法は、昭和の時代柳生・芳徳寺の住職橋本定芳師が苦労の末、正木坂道場を建てられ、全日本剣道連盟会長木村篤太郎先生の協力により全日本剣道の中堅指導者講習会がその後三十年に亘って毎年この道場で真の剣道の指導が行われています。全国の八段以上の指導者は皆この柳生の講習会に参加し、今や柳生の剣は全国に復活しています。加えて毎年春に柳生で行われる石舟斎剣道大会と共に大いに柳生の剣は復興しています。
 一方、四百年前に南都・奈良の興福寺子院の宝蔵院初代覚禅房胤栄が、猿沢池に浮かぶ三日月を槍で突き創始されたと伝えられる宝蔵院流槍術は、江戸時代には弟子四千人にも達し、全国を風靡したのであります。

 我々はこの槍術を奈良の地に継承し保存し後世に永く伝えていきたい、いかねばならぬと念じている次第であります。
 その宝蔵院の槍術も奈良市が槍規模の四百畳敷きの中央武道場鴻の池道場を建設し、木村先生の後を継ぎ全剣連会長であった石田和外先生(元最高裁長官)から槍の復活に献身的なご協力を賜り、四百年ぶりに奈良の地に宝蔵院覚禅房胤栄の鎌槍が復興いたしました。そして、流儀第十八世石田先生のあとを西川源内範士九段先生が、第十九世を継承され、西川先生の指導でこの宝蔵院の槍が鴻の池道場で二十年に亘り伝授稽古されてまいりました。
 私共は、平成三年六月西川源内第十九代宝蔵院流高田派槍術宗家が、第二十世を鍵田忠兵衛氏に継承せしめられる継承式挙行を機会に、保存と槍術文化及び奈良市の観光発展の為に奈良市、興福寺、観光、剣道、銃剣道、なぎなた関係御縁皆様にお願いして、奈良宝蔵院流槍術保存会を結成いたしました。
 さらに多くのご縁の方々に御加入いただき、宝蔵院流槍術の発展に御指導御協力賜りたいと念じ、御案内申し上げる次第です。

平成3年6月
奈良宝蔵院流槍術保存会



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2003.03.19