第35回 愛洲氏顕彰祭・剣祖祭
に演武を奉納


月刊「武道」 平成28(2016)年10月号
宝蔵院流高田派槍術 第二十一世宗家 一箭順三

愛洲移香斎の像
 宝蔵院流槍術は8月21日、愛洲氏顕彰祭・剣祖祭に出場し、演武を奉納しました。
 愛洲氏顕彰祭・剣祖祭は、愛洲氏顕彰会と剣祖祭実行委員会が主催し、剣祖と尊崇される愛洲移香斎(1452-1538)を顕彰するため、その居城であった五ヶ所城跡で毎年奉納演武会が開催されて35回目を迎えました。
五ヶ所城は、三重県南伊勢町に所在し、愛洲氏によって築城されたと伝えられる急峻な山上にあります。演武場は鬱蒼と茂る杉木立に囲まれた主郭跡の広場で、高く聳える愛洲公顕彰碑前には神棚が設えられてあります。
 愛洲移香斎の愛洲陰流を受け、新陰流を創始した諸国行脚中の上泉信綱は1563年、南都・宝蔵院に逗留されました。師を迎えた宝蔵院胤栄と柳生宗厳はその神技に感銘を受け共に弟子入りし、後に印可を許され宝蔵院流槍術の基盤を確立しました。こうした剣祖からの道統の深いご縁に感謝し、宝蔵院流槍術は平成26年から毎年参加させて頂いております。
 剣祖祭には愛洲移香斎を敬慕する21ものご縁古武道流派、百数十人が遠く全国から参集し、会場の城跡は武芸者達で埋め尽くされました。改めて師の徳の高さを思わずにはおれません。
宝蔵院流槍術は、剣祖を偲び流儀の基本である「表」の型を、宗家 一箭順三・免許 西本昌永、目録 船谷哲司・目録 加藤了嗣の4名で奉納させて頂きました。凛とした空気と木立を吹き抜ける爽やかな風、観客の真剣な眼差しを感じつつ、心地よい緊張感を持って演武を無事納めさせて頂くことが出来ました。
 小山巧南伊勢町長も終始熱心に観覧、応援下さいました。さらに演武会後は、多くの少年剣士が城跡に集まり剣道大会が開催されていました。また麓の「愛洲の館」には立派な武道場が整備されています。南伊勢町は剣祖生誕の町を誇りに武道の振興を町づくりの基本に据えておられるようにお見受けしました。

剣祖愛洲移香斎生誕之碑の前で奉納演武する一箭順三宗家はじめ門人


H28(2016). 8.21 第35回愛洲氏顕彰祭・剣祖祭
H27(2015). 8.23 第34回愛洲氏顕彰祭・剣祖祭
H26(2014). 8.24 第33回愛洲氏顕彰祭・剣祖祭

2016.10.5