宝蔵院流高田派槍術 免許 土屋明洋
7月2日、南に興福寺五重塔を望む奈良市鴻ノ池運動公園内の市立第二武道場に於いて、宝蔵院流槍術(第二十世宗家鍵田忠兵衛)の昇格・昇級報告会が奈良市中央武道場槍教室における模範演武の形式で開催され、昇格・昇級者が日頃の稽古の成果を師範の諸先生、伝習生や見学者の前で披露した。
本年度の昇格・昇級者は、5月に実施された試験を経て、6月17日の奈良宝蔵院流槍術保存会(多川俊映名誉会長、松岡泰夫会長)総会の場で発表された。今回の昇格・昇級者は、奈良道場で免許1名、目録2名、上級5名、中級4名、初級5名、大阪道場で上級1名、中級1名、初級2名、名古屋道場で上級2名、初級6名、計29名にのぼった。
報告会では、正面に鍵田宗家、一箭順三宗家代行、前田繁則、粕井隆、榎浪伸和、尾野好司各免許皆伝の諸先生が居並ぶ中で、昇格・昇級者は緊張しながらも力一杯の演武を披露した。
演武者が組になり、初級は表一〜七本、八〜十四本、中級は裏一〜七本、上級は新仕掛七本、目録は表一〜七本、免許は新仕掛七本の型をそれぞれ演武。
特に入門間もない者にとっては人前での演武はめったにない経験、演武の写真を撮られるのも初めて。演武場入場での一礼、どきどきしながら、素槍・鎌槍、二人一組で並んで中央へ進む。正面に礼の後、向かいあって互いに目礼。共に三歩進んで腰を低くおろし中段の槍構えに入る。気満ちて、双方、下段に槍を構えつつ静かに歩み寄り間合いを詰めて、ヤア・エイ、の気合とともに演武が始まる。演武者には、入門してまだ一・二年の者もいれば、槍術の経験は数年でも他の武道の経験実績豊富な者もいるが、張り詰めた雰囲気が周囲に伝わってくる。
演武が終了した後、昇格・昇級者を代表して私が諸先生・諸先輩方に御礼を述べ、流祖宝蔵院覚禅房胤栄師以来450年余りの宝蔵院流槍術の伝統に思いをいたし今後一層の精進に励むことを誓って、謝辞とした。
これに対し最後に、師範の諸先生方一人ひとりから、本日の演武から日頃の稽古への取り組み姿勢に亘り温かい講評があり、今年の昇格・昇級報告会は幕を閉じた。
宝蔵院流槍術 昇格・昇級報告演武会(05.07.02)
|