第25回 宝蔵院流槍術
興福寺奉納演武会を開催


月刊「武道」 平成27(2015)年11月号
宝蔵院流高田派槍術 第二十一世宗家 一箭順三


奉納演武関係者集合写真(前列中央が一箭宗家。その右が多川俊映興福寺貫首)

奉納演武する一箭順三宗家(左)

 第25回目の宝蔵院流槍術興福寺奉納演武会を9月26日に挙行しました。当日は天候にも恵まれ、多くの観覧者を得て、宗家以下10名の伝習者が日頃よりの稽古精進の成果を興福寺東金堂薬師如来様に心をこめて奉納させていただくことができました。
 宝蔵院流槍術と興福寺様とのご縁は、およそ450年前、興福寺の子院宝蔵院で発祥した武道であることによります。
 演武場は世界文化遺産興福寺の東金堂。隣には五重塔がそびえ、堂々たる東金堂のその基壇石畳という最高の舞台空間を25年もの間、快く提供くださいました多川俊映興福寺貫首様のご理解、ご助力に深く感謝申し上げています。
 演武に先立ち、多川貫首様のご導師により般若心経と唯識三十頌(ゆいしきさんじゅうじゅ)が読誦(どくじゅ)されます。法相宗の大本山興福寺は、般若心経と唯識三十頌を、所依(しょえ)の経典として重んじておられます。学侶でもあった流祖・胤栄師もこの唯識三十頌を学び研究しておられたのです。
これまで、貫首様ご導師の読誦を勿体なくもただ合掌して聴かせてだけいただくばかりでした。今回の読誦を拝聴していて根幹をなす教典・唯識三十頌を通じて正流を学び、共に唱えるべきとの考えに至りました。
 宝蔵院流槍術伝習者は興福寺に繋がるバックボーンを認識し、脈々と伝えられた技に加えて心を欠くことなく後世に伝承せねばならぬと改めて気づかせて頂いた演武会となりました。
 興福寺様におかれましては創建1300年を機に、天平の文化空間の再構成を目指して中金堂の再建に着手され、平成30年の落慶に向けて着々と事業を推進しておられます。興福寺様とご縁を結ばせていただいております伝習者も、微力ながらもお役に立たせて頂きたいと願っております。
 今後とも宝蔵院一門は、精進努力を重ね、興福寺様の歴史と共に宝蔵院流槍術を後世永遠に伝承してまいる所存であります。今までにも増して多くの皆様方のご支援ご協力をお願い申し上げる次第です。
 最後になりましたが、興福寺様をはじめ関係皆様に感謝と御礼を申し上げ、奉納演武会開催の報告といたします。


第25回 宝蔵院流槍術興福寺奉納演武会     H.27(2015)年9月26日
Facebook 宝蔵院流槍術 月刊「武道」2015.11月号掲載

2015.11. 1