宝蔵院流高田派槍術 
一箭・新宗家が演武奉納

平成24(2012)年6月10日 読売新聞

槍術を披露する一箭さん(左)
(奈良市の春日大社で)

 


 約450年前に奈良で発祥した古武道・宝蔵院流高田派槍術(そうじゅつ)の第21世宗家となった一箭(いちや)順三さん(63)が9日、今年1月の就任後初めて奈良市の春日大社を正式参拝し、演武奉納を行った。宝蔵院流槍術は同大社と縁が深い興福寺の子院(塔頭(たっちゅう))・宝蔵院の僧胤栄(いんえい)が始め、祭神の武甕槌命(たけみかづちのみこと)は武神としても崇敬されている。

 白ばかま姿の一箭さんは、一門約25人とともに本殿前で就任を報告した後、境内の「林檎(りんご)の庭」へ移動。先が十字の「鎌槍(かまやり)」(長さ2・7メートル)を使って、師範の前田繁則さん(63)と「槍合わせ」を行い、相手の槍をはじいたり、ひねり落としたりするなど七つの形を次々に披露した。

 一箭さんは「先代の跡を継いで技を広めていくと報告した。気持ちを新たに、これからも稽古に臨みたい」と話した。


読売新聞平成24(2012)6.10



宝蔵院流槍術:宗家の一箭さん、
就任報告と演武奉納 /奈良
毎日新聞 2012年06月10日

 古武道「宝蔵院流槍術(ほうぞういんりゅうそうじゅつ)」の第二十一世宗家に就任した一箭(いちや)順三さん(63)らが9日、奈良市の春日大社で、宗家就任報告と演武を奉納した。

 宝蔵院流槍術は、興福寺の子院である宝蔵院住職、胤栄(いんえい)が約450年前に始めた。穂先が十文字型に作られた「鎌槍(やり)」を使うのが特徴で、奈良の他、大阪や名古屋、ドイツ・ハンブルクの道場で100人以上の伝習者が流儀継承に活動している。

 この日は、目録以上の伝習者25人が参拝。神事に続き、一箭宗家らが時折雨が降る庭で、鎌槍(長さ2・7メートル)と素槍(3・6メートル)を使い、七つの型を披露した。

 先代宗家で奈良市長や衆院議員、県議を務めた鍵田忠兵衛さんが昨年末急逝し、一箭さんが継いだ。「神様に就任を報告したことで気持ちを新たにした。弟子と共に、けいこと普及に励んでいきたい」と話した。【村本聡】





ハッ!迫真演武 春日大社で奉納 
奈良発祥の宝蔵院流槍術

産経新聞 2012年06月10日

 奈良発祥の古武道「宝蔵院流槍術(ほうぞういんりゅうそうじゅつ)」の演武奉納が9日、奈良市の春日大社で行われ、参拝者が勇壮な武術の形に見入っていた。

 今年1月に第21世宗家に就任した一箭(いちや)順三氏が同日、武神「武甕槌命(たけみかづちのみこと)」を祭る春日大社の本殿を参拝し、宗家継承を報告。

 この後、伝習生と2人で刃先が十文字型になった同槍術特有の槍(やり)を用い、さまざまな迫真の演武の形を披露した。

 同槍術は約450年前に興福寺の僧侶が護身のために編み出したとされる。現在は奈良のほか大阪、名古屋、ドイツの道場に100人以上の伝習生を持つという。

 一箭氏は「宗家就任を機に今後一層の稽古に励み、宝蔵院流槍術を後世に伝えたい」と話している。

2012. 6.10