昇格・昇級報告演武会

宝蔵院流槍術
平成21年度 昇格・昇級報告演武会
技と心を後世に引き継ぐ


月刊「武道」 2010年10月号
宝蔵院流高田派槍術 目録 田口昌昭(奈良道場)

 平成22年7月3日、奈良市中央武道場において宝蔵院流高田派槍術(第二十世宗家・鍵田忠兵衛)の平成22年度昇格・昇級報告演武会が開催され、今年度の昇格・昇級者達が宗家をはじめ、師範、伝習者、参観者の前で日頃培った技を披露した。


 平成22年度の昇格・昇級審査は、4月17日から5月29日の間に実施され、初級4名、中級7名、上級5名、目録6名、免許2名、免許皆伝2名の合計26名の各昇格・昇級が認められた。
 免許への昇格は平成17年以来5年ぶりであり、免許皆伝への昇格は平成16年以来6年ぶりである。
 審査に合格した者には、6月5日に開催された奈良宝蔵院流槍術保存会総会(多川俊映名誉会長、松岡泰夫会長)の後に、保存会役員、会員、伝習者の立ち会いの下で印可状、修得証が授与されており、この報告演武会で演武することが努めとされている。
 今回は所用のため参加できなかった者を除く、18名(賛助2名を含む。)により演武が行われることとなった。
 午前11時から宗家をはじめ、師範、伝習者、参観者が列席する中、西堀清作目録が代表して昇格・昇級のお礼及び参観のお礼を申し上げると共に、日頃の稽古の成果を遺憾なく発揮することを宣言して演武会は始まった。
 宝蔵院流槍術は鎌槍を使う者と素槍を使う者の二人により型が作られており、先ず、初級昇級者二名による表四本の演武が行われた。総ての観衆の目が二人に注がれる中で、充分な気合いを伴った声が静寂な広い道場に響き渡る。
 次に、中級昇級者4名(二組)による裏四本の演武、上級昇級者四名(二組)による新仕掛四本の演武が行われた。それぞれの者が、日々の稽古の中で身につけてきた技を遺憾なく発揮した。
続いて、目録昇格者六名(三組)による表四本、免許昇格者二名による新仕掛四本が演武されたのちに、免許皆伝昇格者二名による新仕掛四本が演武され、磨かれた技が張りつめた空気の中で披露された。
報告演武の後、昇格・昇級者を代表して西生利浩免許皆伝が、これまでの諸先輩によるご指導のお陰で昇格できたことへの感謝、演武観覧に対するお礼を述べると共に、今後も稽古に精進し、宝蔵院流槍術の普及、伝承に更に努めるとの決意を表明した。
 最後に、鍵田宗家から本日の演武に対する講評をいただくと共に、今後の稽古への取り組み方、宝蔵院流槍術の普及、伝承への更なる取り組みについての激励をいただいた。
 なお、当演武会は、今年度の昇格審査において免許を授与されながら、6月14日に急逝された故藤村耕司免許の遺影及びご遺族をお迎えして行われ、全員で黙祷を捧げると共に、昇格にあたって故藤村免許が提出した昇格審査論文を宗家が朗読し、 在りし日の面影をしのび、ご冥福をお祈りした。
 伝習生一同、改めて稽古に励むこと、普及・伝承に努めることを約束して無事に平成22年度昇格・昇級報告演武会の幕を閉じた。

平成22年度 昇格・昇級報告演武会(10.07.03)
平成21年度 昇格・昇級報告演武会(09.07.04)
平成20年度 昇級報告演武会(08.07.05)
平成19年度 昇級報告演武会(07.07.07)
平成18年度 昇格・昇級報告演武会(06.07.01)

2010.10. 4