街道の石畳修復、倒木除去 
市民団体、奉仕活動12年目

H.22(2010).9.4読売新聞掲載

活動の様子の写真を示しながら、活動への参加を呼びかける長手代表(奈良市で)
 宮本武蔵や柳生十兵衛ら江戸時代の剣豪が柳生の道場を目指して往来した奈良市の柳生街道(滝坂の道)で、石畳の修復や倒木除去などボランティア活動をしている市民団体「柳生街道・滝坂の道を守る会」(長手宏代表、約45人)が今月、発足12年目を迎えた。毎月1回程度活動をしているが、メンバーの平均年齢は70歳と高齢化が進み、19日に行う渓流に堆積した流木の除去作業は、市民らに参加を呼びかけている。同会は「地元住民に古くから親しまれてきた場所。後世に伝えるため、活動に協力してほしい」と協力を求めている。
 柳生街道は、同市の高畑町から忍辱山町(にんにくせんちょう)の円成寺に至る渓流に沿った約10キロで、平安〜鎌倉時代には南都七大寺の僧が修行する場でもあり、戦前までは生活道として利用されていた。街道沿いには太陽光に映える「朝日観音」「夕日観音」などの石仏があり、多くのハイカーが訪れる癒やしのスポットにもなっている。
 春日山原始林が1998年に世界遺産に登録されたのを受け、当時、ふもとの同市高畑町に住んでいた長手代表(79)が「遠方から来るハイカーらに気持ちよく散策してもらいたい」と地元住民らに参加を呼びかけ、99年9月に会を結成した。
 街道のごみ拾いなど清掃を続け、大雨の後に道が崩れれば、県に改修を要望。街道沿いにある老朽化したトイレは、秋に改修されることになった。
 県奈良公園管理事務所の高岡茂・管理課長は「県と奈良市の管轄が入り交じり、なかなか行政の手が回らない部分を支援していただき、感謝している」と話す。
 メンバーは30歳代以上で、県外在住者も多く、活動の中心は60〜70歳代。常時、参加できるのは10人程度しかおらず、長手代表は「現在の態勢では、活動が追いつかず、街道が荒れてしまう。退職後のボランティアとして会の活動に参加してもらえれば」と期待している。
 19日の除去作業は午前10時から、朝日観音周辺で行う。小雨決行。
問い合わせは長手代表(0742・51・1086)。

(2010年9月4日 読売新聞)

20010. 9. 6