興福寺奉納演武


ビジット・ジャパン・キャンペーン“YOKOSO! JAPAN WEEKS”協賛
宝蔵院流槍術興福寺奉納演武

月刊「武道」 2005年4月号

                      宝蔵院流高田派槍術
                         第二十世宗家 鍵田忠兵衛


 宝蔵院流槍術はビジット・ジャパン・キャンペーン「YOKOSO JAPAN WEEKS」の趣旨に賛同し、宝蔵院ゆかりの興福寺において、212日と19日の2日にわたり槍術演武を奉納し、併せて奈良を訪れる国内外の旅行者に観覧及び槍術の体験をいただきました。
 「YOKOSO JAPAN WEEKS」とは、海外からの観光客倍増をめざす国を挙げての事業で、特に25日から2週間にわたり集中的なキャンペーンを国内外で実施されたものです。
 外国人を歓迎する特別プログラムは、国土交通省の呼びかけに呼応して、全国から76件の応募があり、期間中、全国45カ所での企画事業が採択されました。宝蔵院流槍術は興福寺における奉納演武と槍術体験交流を提案し、興福寺様も国宝五重塔前での奉納を快くご了解くださいました。奈良県内では私どもの演武以外に、興福寺五重塔・東大寺俊乗堂・薬師寺西塔の特別公開や春日大社舞楽奉納などが選定され、報道各社にも事前に大きく採り上げられました。
 さて、12日第1回目の演武会は国の大々的なキャンペーンが功を奏し、興福寺境内にはおよそ500人の観光客が五重塔を取り囲み、うち3割程度は外国人と見受けました。
  興福寺様による五重塔前での法要に続いて、宝蔵院流槍術演武を奉納させていただきました。観覧者は、平素観ることの出来ない日本の伝統武道を熱心に見学し、さかんにカメラのシャッターを押していました。
 さらに、演武後は観覧者に技の指導を行う体験交流を行いました。「構え」「突き」「引落とし」「巻落とし」など、基本的な技術の説明を行った後、実際に観覧者に槍を持っていただくことにしました。私どもは準備できる限りの槍を会場に持参し、30名の伝習者は槍を抱えて会場に入り、言葉の通じない外国人には身振り手振りで積極的に交流を図り、槍の技術を説明しました。観覧者は始めて握る槍の重さと長さに驚き、伝習者に支えられながらも頑張って槍を突こうとする子どもや、先ほど観た演武を真似て巻落としを追体験する外国人達などで、広い境内は歓声と笑い声に包まれました。
 この興福寺奉納演武は212,19日の2日間、それぞれ午後130分と230分の12回、奉納演武と槍術体験交流を繰り返し実施し、いずれも盛会裡に終了することができました。
 私どもは平素、伝えられた型を演武させていただくことにのみに徹して修行してまいりました。しかし、こうして市民や外国人を対象に、槍を手に取って教え、交流を図った例はあまりなく、武道になじみのない一般の方々があのように活き活きと槍を楽しんでくださる姿に、誠に感銘を覚えました。
 自分達のみのための稽古ばかりでなく、外国人も含め、広く市民と共に日本の古武道の伝承について深く考える良い機会でありました。




ビジット・ジャパン・キャンペーン“YOKOSO! JAPAN WEEKS”協賛
宝蔵院流槍術興福寺奉納演武(05.02.12)



2005.03.26